松下昇への接近

 旧 湾曲していく日常

稜線に行倒れたる

まなざしをつねに休める稜線に行倒れたるけものおるべし
              前 登志夫
(20060225朝日新聞夕刊)「世捨人」より

作者は山勝ちの地域に住む高齢の歌人。ゆっくりと歩きながら目の前の山の稜線をそのつど確認することで疲れを癒している。稜線という言葉の鋭角性から自分の遠くない死を思い浮かべる。なだらかな稜線は数十年絶えず生き続けたその果て、のメタファーでもありうる。「人間の幸福とは何、ゆつくりと山に生きたり老いふかめつつ」老いたふりをしつつも、というか、むしろ本質的に「老い」とは強度であり過激性ではないか、という問いにすら導かれる。

子供という資源

http://www.asahi.com/national/update/0224/TKY200602230419.html
asahi.com: 中絶希望者に里親案内の新制度 福島県が今春から - 社会

 川手晃副知事は「妊娠中絶を考えている人に『産む』という選択肢も提示した上で、できるだけ産んでもらい、社会で子どもを育てようというのが狙いだ。倫理的な問題を指摘する声があるかもしれないが、出生率の低下や中絶の問題は深刻だ」と話している。

 フェミニストには「子供が減って何が悪い派」の方が多いので、批判が出るでしょうね。わたしはどちらかいうと、「子供を増やすために婚外子への保護の充実を!」派なのですが。里親制度の両義性(婚姻制度を守れ派も反対派も賛成できる)の実例か。
 まあ男性が興味本位に触れて良い話題でないと。